骨折後の入院リハビリはどう進む?高齢者の家族が知っておくべきこと

高齢のご家族が骨折で入院されると、「リハビリはいつから始まるの?」と不安になりますよね。骨折後のリハビリは、早期に開始し継続することが回復の鍵となります。

入院中は、以下のように段階的にリハビリが進み、専門スタッフによってベッド上の運動から歩行訓練まで のサポートを受けられます。

リハビリの進捗段階
  1. 急性期
  2. 回復期
  3. 維持期

退院後も通所リハビリや訪問リハビリを活用すれば、自宅での生活を安心して続けられるでしょう。

本記事では、骨折入院リハビリの具体的な流れ、訓練内容、入院期間や費用の目安まで、ご家族が知っておくべき情報を解説します。さらに、退院準備のチェックポイントや再骨折を防ぐための生活習慣もご紹介しますので、退院後の不安も軽減できるでしょう。

大切なご家族のために正しい知識を身につけてサポートすることが大切です。骨折からの回復は、ご本人の頑張りとご家族の理解があってこそ実現します。

骨折後の入院からリハビリ開始までの一般的な流れ

骨折後の入院からリハビリ開始までの一般的な流れ

高齢者が骨折で入院すると、家族はリハビリ開始のタイミングが気になります。現在、多くの病院では手術の翌日や2日以内という早い段階からリハビリを開始しているのです。

骨折後のリハビリは骨折部位や年齢、体力によって進め方が異なります。基本的な流れを知っておくと、医師やリハビリスタッフとの話し合いもスムーズに進みやすくなるでしょう。

手術直後の急性期からリハビリが始まるタイミング

「手術したばかりなのにもう動くの?」と家族の方は不安になりがちです。しかし、現代の医療では手術翌日(または2日以内)からリハビリを始めるのが標準とされています。これには明確な理由があります。

高齢者が数日間ベッドで安静にしているだけで、以下のような症状が進行するため、寝たきりを防ぐには、早期からの働きかけが欠かせません。

  • 筋力低下
  • 関節の硬化
  • 肺炎
  • 血栓症などの「廃用症候群」

医師がリハビリ開始を許可するのは、骨が手術でしっかり固定され全身状態が安定してからです。発熱や血圧の変動がなく、傷口の状態が良好であるかどうかも確認します。

最初はベッド上で座る練習や、手足の指を動かす運動、深呼吸などの呼吸訓練から始まります。患部以外の関節を動かして血流を保ち、むくみや血栓を予防するのです。

ベッド上での動作から歩行訓練へ段階的に進む流れ

リハビリは痛みや体力に応じて、段階的に進めていきます。

リハビリの段階的な進行
  1. ベッド上:まずベッド上で寝返りや起き上がりの練習から開始です。理学療法士が体を支えながら、痛みの少ない動き方を教えてくれます。この段階で医師は痛みの程度や傷の状態、バイタルサインの安定性を確認します。
  2. 端座位:次はベッドの端に腰かける「端座位」の練習です。座った状態でバランスを保てるか、めまいや血圧低下がないかをチェックします。
  3. 立位:ここから立ち上がる訓練へと進みますが、この時点で療法士は患者の筋力や骨の固定状態を見極めています。
  4. 歩行:立位が安定したら、平行棒につかまりながらの歩行練習が始まります。手術後4日から1週間ほどで、全体重をかけても大丈夫と判断されれば、歩行器や杖を使った訓練に移行します。

医師は定期的なレントゲン撮影で骨の状態を確認しながら、負荷のかけ方を調整します。

骨折の部位や年齢による回復期間の違い

骨折入院後、いつ退院できるのかは家族にとって最大の関心事でしょう。回復期間は骨折部位によって異なります。

骨折部位と回復期間の目安
骨折部位回復期間補足
大腿骨近位部3~6ヶ月骨がつながるまでには3ヶ月以上のことが多い
腰椎圧迫骨折
(脊椎圧迫骨折)
2~4ヶ月コルセット装着、安静
片側肘骨折1ヶ月~3ヶ月合併症などによって差あり

年齢も回復を左右する要因です。年齢によって骨の修復力に差があり、高齢になるほど筋力低下や合併症のリスクが高まります。

  • 60歳未満:急性期病院から直接自宅退院できることが多い
  • 80歳以上:回復期病院や施設への転院が増える傾向

個人の体力や持病の有無によっても期間は前後するため、医師と相談しながら無理のない計画を立てましょう。

高齢者の骨折リハビリで行われる訓練内容と1日の過ごし方

高齢者の骨折リハビリで行われる訓練内容と1日の過ごし方

入院中の生活は、リハビリを中心に組み立てられています。回復期リハビリ病棟では、午前と午後に分けて1日最大3時間(20分を1単位として9単位)のリハビリを受けることができます。

ただし、患者の体力に合わせて短時間から始め、徐々に時間を増やしていくのが一般的です。

リハビリの3つの柱
  1. 理学療法士による歩行訓練や筋力強化
  2. 作業療法士による日常動作の練習
  3. 看護師やスタッフによる精神的ケア

食事や着替え、トイレといった日常の動作すべてがリハビリの一環として捉えられ、できることを少しずつ増やしていきます。

家族が面会に訪れた際、平行棒につかまって歩く練習をしている姿や、理学療法士と一緒に立ち上がりの訓練をしている様子を見ると、確実に回復している実感が得られるでしょう。

理学療法士による筋力強化と歩行練習

理学療法士が担当するのは、立つ・歩くといった「動く機能」の回復です。

  • 下肢の筋力回復:仰向けで膝を伸ばして足を持ち上げる運動やお尻の持ち上げ訓練、座った状態で膝を伸ばす練習などを行います。
  • 太ももの筋肉強化:壁を使った軽いスクワットも取り入れます。
  • バランス訓練:片足立ちや体重移動の練習を通じて転倒を予防し、安全に歩けるようになることを目指します。

平行棒での歩行が安定したら、歩行器、杖へと段階を踏んで進め、理学療法士が正しい使い方を丁寧に指導してくれます。

リハビリの頻度
1回あたりのリハビリ時間20分1単位
1日あたりの合計リハビリ時間2〜3単位(40〜60分)
※患者の体力に合わせて
1週間のリハビリ日数週5〜6日

作業療法士と取り組む着替えや入浴などの日常動作訓練

作業療法士の役割は、「生活する機能」を取り戻すことです。着替え、トイレ、入浴といった日常生活動作(ADL)の訓練を担当します。

理学療法士と作業療法士の違い
  • 理学療法士:「動く機能」に焦点を当てたリハビリ
  • 作業療法士:「その動きを生活にどう活かすか」という視点で訓練を組み立てていく
  • 動作の練習:実際の生活場面を想定して、ボタンをかける、靴下を履く、浴槽をまたぐといった一つひとつの動作を、時間をかけて練習していくのです。
  • 身体に合わせた工夫:片手でシャツのボタンを留める方法や、前かがみにならずに靴下を履くコツなど、身体の状態に合わせた工夫を教えてもらえます。
  • 福祉用具の選定:自宅復帰に向けて、ソックスエイド(靴下を履く補助具)やボタンエイド、長柄のブラシといった福祉用具を実際に試しながら、どれが使いやすいかを一緒に選んでいきます。

認知機能の低下を防ぐための精神的ケアと声かけ

骨折で長期間ベッドに寝たきりになると、日時や場所がわからなくなる見当識障害や、せん妄と呼ばれる一時的な意識の混乱が起こりやすくなります。

せん妄を経験する入院患者の割合は35〜65%と幅広いのですが、高齢者では特にリスクが高まるとされています。

見当識障害やせん妄を防ぐため、以下のような見当識訓練が行われます。

見当識訓練の例
  • 病室にはカレンダーや時計を設置
  • 毎日「今日は○月○日です」と日付を確認
  • 「今からリハビリに行きます」と日課を説明、など

家族の面会や会話も認知機能を維持する大きな助けになります。「昨日は誰が来たか覚えてる?」といった声かけや、家族の写真を枕元に置くことは、患者が現実とのつながりを保ちやすくするでしょう。

理学療法や作業療法が身体機能の回復を担うのに対し、精神的ケアは「心と脳」の健康を守る役割を果たしています。

入院期間の目安と回復期リハビリ病棟へ転院の仕組み

急性期病院は「命を救うこと」を使命とするため、骨折の手術や治療が終わり状態が安定すれば、診療報酬制度の影響もあり2週間から1ヶ月程度で退院や転院を求められます。

その後のリハビリを集中的に行う場として回復期リハビリ病棟があり、骨折では最大90日、脳卒中などでは最大180日の入院が可能です。

退院先は患者の状態により以下の3つに分かれます。

  • 自宅退院:60歳未満で回復が順調
  • 回復期病棟への転院:60歳以上・機能回復に時間がかかる場合
  • 施設入所:80歳以上で介護が必要

医療ソーシャルワーカーが家族と相談しながら、最適な選択肢を提案してくれます。

制度で定められた入院日数とリハビリ期間の上限

急性期病院では診療報酬制度により入院日数に制約があり、骨折の場合は2〜3週間程度で転院や退院を促されるのが一般的です。状態が安定すれば次の段階へ移る必要があるためです。

回復期リハビリ病棟では、厚生労働省が疾患ごとに入院上限日数を定めています。

  • 90日:大腿骨や骨盤の骨折
  • 150~180日:脳卒中や高次脳機能障害を伴う重症例

上限日数内に集中的なリハビリを行い、自宅復帰や施設入所の準備を整えます。

期限内に目標が達成できない場合でも、医師が「治療継続により改善が期待できる」と判断すれば、月13単位(約4時間20分)の範囲内でリハビリを継続できることがあります。

また、介護保険でのリハビリや外来通院リハビリへ移行するという選択肢もあります。医療ソーシャルワーカーが、患者の状態に合わせた次の受け皿を一緒に探してくれます。

急性期病院から回復期病院へ移るケースと判断基準

医師が転院を勧めるのは、以下の点が全て確認できた時点です。骨の癒合が完全に進むのを待つのではなく、レントゲンで骨の位置がずれていないことを確認できれば、積極的なリハビリが必要と判断して転院を提案します。

医師の転院判断基準
  • 手術部位の傷が安定している
  • 発熱や感染の兆候がない
  • 全身状態が落ち着いている

転院のタイミングは手術後1〜3週間が一般的で、「医療支援室」や「地域医療連携室」と呼ばれる部署が、受け入れ可能な回復期病院を探して調整します。ただし希望する病院に空きベッドがあるとは限らないため、複数の候補から選ぶことになります。

介護老人保健施設や自宅でのリハビリに切り替わる時期

回復期病棟の入院上限に達したあとは、介護老人保健施設(老健)でリハビリを続ける選択肢があります。老健には理学療法士や作業療法士が常勤しており、3〜6ヶ月かけて在宅復帰を目指します。

病院から退院した高齢者が自宅へ復帰するために、リハビリや医療ケア、介護を提供する公的な施設です。

在宅復帰が可能と判断される目安
  • トイレ動作や着替え、食事が見守りや一部介助で行える
  • 歩行器や杖を使って室内移動ができる

完全に自立していなくても、家族や訪問介護の支援を受けながら生活できる状態であれば、退院後は訪問リハビリや通所リハビリへ移行する準備が進められます。

転院先のリハビリ病院を選ぶときに確認したいポイント

リハビリの実施時間と頻度

回復期リハビリ病棟では1日最大3時間(9単位)のリハビリが認められています。しかし、病院によって実際の提供時間は異なります。できれば365日体制でリハビリを実施している病院が理想的です。

療法士の配置人数

療法士の配置人数も確認が必要で、厚生労働省の施設基準では理学療法士、作業療法士の人数が決められています。基準より配置が少ない病院もあるため、療法士の人数や専門性を事前に尋ねておくとよいでしょう。

病院の立地

自宅からの距離と面会のしやすさも重視しておきたい点です。家族が頻繁に訪問できる範囲にあると、患者の精神的な安定につながります。

退院支援体制

退院支援体制として医療ソーシャルワーカーが常駐しているか、ケアマネージャーとの連携体制や住宅改修の相談に応じてくれるかも確認しておきましょう。

骨折の入院でかかる費用と医療費負担を軽くする制度

高齢者の骨折で入院・手術・リハビリにかかる総額は、骨折の部位や入院期間によって異なりますが、医療費総額で30万円〜100万円程度が目安です。ただし健康保険が適用されるため、実際の自己負担額は1〜3割で済みます。

さらに高額療養費制度を利用すれば、月ごとの自己負担額に上限が設けられます。

1ヶ月(1日から末日まで)の医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じて定められた「自己負担限度額」を超えた場合、その超えた分の払い戻し(または窓口での支払いを免除)を受けられる公的医療保険制度です。

また退院後に介護保険のリハビリサービスを利用する場合、医療保険と介護保険は別々に上限が適用されます。

家族が事前に準備しておきたいのは、「限度額適用認定証」の申請です。加入している健康保険組合や市町村の窓口に申請すれば、入院時の窓口負担が自己負担限度額までで済みます。

医療費が高額になった際に、病院の窓口での支払いを所得に応じた自己負担限度額まで(月ごと)に抑えることができる証明書です。

健康保険が適用される範囲と自己負担割合

健康保険の適用範囲
健康保険適用(一部のみ自己負担)手術
入院
リハビリ
全額自己負担差額ベッド代(個室や特別室を希望した場合)
入院時の食事代(1食あたり510円程度)
自己負担割合
年齢負担割合
70歳未満3割
70~74歳原則2割
※現役並み所得者(課税所得が145万円以上):3割
75歳以上原則1割または2割

後期高齢者医療制度は75歳以上の方が対象で、負担割合は保険証や市町村から送られる「資格確認書」に記載されています。自分の負担割合を確認したい場合は保険証の表面を見るか、加入している健康保険組合や市町村の窓口に問い合わせましょう。

高額療養費制度を活用して月々の支払いを抑える方法

高額療養費制度では、1ヶ月(月初から月末まで)の医療費が自己負担限度額を超えた場合、超過分が払い戻されます。限度額は所得区分で異なります。

70歳以上の一般的な所得者
(年収約370万円~770万円)の場合
  • ひと月の上限額:57,600円/月
  • 外来の上限額:18,000円/月

入院前に「限度額適用認定証」を申請しておけば、窓口での支払いが最初から限度額までで済みます。事後申請の場合は、いったん全額を支払った後に超過分が払い戻されます。

事前申請の方が、まとまった金額を用意する必要がないため負担が軽くなります。市区町村窓口での交付を申請しておくとよいでしょう。

介護保険サービスを利用するための申請手続き

医療保険の限度日数を超えてリハビリを継続したい場合や、歩行器などの福祉用具を利用したい場合には、介護保険の申請が必要です。40歳以上65歳未満の方でも、骨折を伴う骨粗しょう症など特定疾病が原因で介護が必要になった場合は、介護保険サービスを利用できます。

介護保険を利用するまでの手順
  1. 申請:市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターで受け付けており、本人や家族のほか、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者の職員が代行可能です。
  2. 調査:申請後、市区町村の認定調査員が自宅や入院先を訪問して心身の状況を調査します。
  3. 審査:調査結果と主治医の意見書とあわせて介護認定審査会で審査されます。
  4. 介護認定:認定結果は申請から原則30日以内に通知されますが、主治医意見書の作成状況などにより遅れる場合もあります。

認定されると要支援1・2または要介護1〜5のいずれかの区分が決定し、それぞれの区分に応じた介護サービスが利用可能になります。

退院後の生活に向けて家族ができる準備とサポート

退院前に家族が整えておきたいことは、大きく3つあります。

  • ①住環境の整備:段差解消や手すり設置などの住環境整備
  • ②介護体制の確立:訪問看護やデイサービスなどの介護サービス手配
  • ③相談先の確保:緊急時の連絡先整理

できるだけ入院中に進めておくと、退院後の生活がスムーズに始まります。

病院の医療ソーシャルワーカー(地域連携室や医療相談室に所属)は、転院先の紹介や介護保険制度の説明、退院前カンファレンスの調整を行ってくれます。また地域包括支援センターでは、要介護認定の代行申請やケアマネジャーの紹介など、退院後の生活全般について相談できます。

入院中から退院後の生活を見据えて、早めに専門家に相談することが大切です。

自宅の環境を整える住宅改修と福祉用具の活用

骨折後の転倒予防と安全な移動のため、住環境整備が重要です。

住宅改修の具体例
  • 階段や廊下、浴室への手すり設置
  • 玄関や室内の段差解消
  • 浴室の滑り止めマットへの床材変更

介護保険を利用すれば、住宅改修費として上限20万円までの工事に対して支給されます。支給額は限度額20万円の9割が上限となり、負担割合が1割の場合、20万円の工事で自己負担は2万円です。

レンタルの活用

歩行器・車椅子・介護ベッド(特殊寝台)などは、介護保険の福祉用具貸与でレンタルできます。

原則として貸与を原則としていますが、貸与になじまない性質のものは年間10万円を限度として購入費が保険給付の対象となります。

ケアマネジャーへの相談と介護認定申請のタイミング

退院後すぐに介護サービスを利用するには、退院前にケアマネジャーを決めておくことが重要です。

要介護者や要支援者の人の相談や心身の状況に応じるとともに、サービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるようにケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う者とされています。

病院の医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターに相談すれば、ケアマネジャーの紹介を受けられます。

介護申請のタイミング

入院中に介護認定申請を行う最適なタイミングは、退院の1〜2ヶ月前です。申請から認定まで約30日かかるため、退院後すぐにサービスを利用できるよう逆算して準備します。

ただし、骨折や手術直後など身体状態が不安定な時期は認定調査ができないため、状態が安定してから申請することが大切です。認定後、ケアマネジャーが本人の状況や希望に応じてケアプランを作成し、訪問介護や通所リハビリなどのサービス事業所を選定します。

地域包括支援センターや医療ソーシャルワーカーの活用

  • 地域包括支援センター:地域包括支援センターは、高齢者に関する総合相談窓口です。介護保険の申請代行、ケアマネジャーの紹介、退院後の生活に関する相談など幅広く対応してくれます。社会福祉士・保健師・主任ケアマネジャーなど専門家が無料で相談に乗ってくれるため、何から始めればよいか分からない場合はまず相談すべき窓口です。地域包括支援センターの連絡先は、市区町村の役所や自治体のホームページで確認できます。
  • 医療ソーシャルワーカー(MSW):医療ソーシャルワーカー(MSW)は、病院の地域連携室や医療相談室に所属し、退院調整の専門家です。転院先の紹介、介護保険制度の説明、退院前カンファレンスの開催、地域のケアマネジャーや訪問看護との連携など、入院中から退院後の生活を見据えた支援を行います。

家族だけで抱え込まず、専門家を積極的に活用し、スムーズな退院と安心できる在宅生活につなげましょう。

自宅復帰後の再骨折を防ぐために続けたい取り組み

退院後も訪問リハビリや通所リハビリを継続し、筋力維持に努めることが重要です。

再骨折の主なリスク要因
  • 転倒
  • 骨密度低下
  • 筋力低下

転倒予防には環境整備、骨密度維持にはカルシウムやビタミンDの摂取と適度な日光浴、筋力維持には継続的な運動が効果的です。

家族は、本人の歩行の様子や食事量、活動意欲の変化に注意を払いましょう。「できることは自分でやってもらう」という姿勢で見守り、小さな進歩を認める声かけが本人の意欲を保ちます。

過度な制限は逆に筋力低下を招くため、適度なリスクを取りながら自立を支援することが大切です。

通所リハビリや訪問リハビリで機能維持を図る

通所リハビリ

通所リハビリ(デイケア)は、医師の指示のもとで理学療法士や作業療法士などの専門職によるリハビリを受けられる介護保険サービスです。利用時間は1〜2時間の短時間型から6〜8時間の1日型まであり、一般的には週2回程度の利用が多くなっています。

訪問リハビリ

訪問リハビリは、自宅という慣れた環境で実際の生活動線に即した訓練が可能です。自宅の階段や浴槽を使った実践的な動作練習ができるため、退院直後や通所が困難な場合に適しています。

どちらも介護保険での利用となり、ケアマネジャーに相談のうえケアプランに組み込む必要があります。主治医の指示書も必要となるため、まずは担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。

両サービスの併用も、目的が明確であれば可能です。

転倒リスクを減らす生活習慣と運動の継続

室内での転倒を防ぐには、照明の設置や動線の確保などを行いましょう。

室内転倒予防策
  • 夜間の足元を照らすフットライトの設置
  • 脱げにくいかかと付きの室内履きの使用
  • 電気コードや床に置いた物を片付ける
  • スリッパから滑り止め付きのルームシューズへの変更
自宅でできる簡単な筋力・バランス訓練
  • 椅子を使ったスクワット(膝がつま先より前に出さない)
  • 椅子や壁につかまっての片足立ち(左右各30秒程度)
  • かかと上げ運動

無理のない範囲で毎日続けることが大切です。

外出時は、雨で濡れた路面や段差に注意し、体に合った歩行補助具を選びましょう。

杖を利用する時のポイント

杖は痛い足の反対側の手で持ち、長さは肘が軽く曲がる程度に調整します。杖先のゴムは定期的に確認し、すり減っていたら交換が必要です。

骨粗しょう症の検査と食事による骨の健康管理

骨密度検査は退院後の受診時や、骨粗しょう症と診断された場合は治療効果を確認するため定期的な検査が一般的です。特に骨折経験のある方は、再骨折予防のため継続的な測定が重要です。

また定期的な検査に加え食事にも注意を払い、日常生活でも骨の健康管理を行いましょう。

骨を強くする栄養素
栄養素主な食材1日の推奨量
※日本人の食事摂取基準 2020年版
カルシウム牛乳
小魚
小松菜
男性:700~800mg
女性:600~650mg
ビタミンD
干しシイタケ
きくらげ
8.5μg
ビタミンK納豆
ほうれん草
ブロッコリー
150μg

骨粗しょう症治療薬には様々な種類があり、医師の判断のもと使用されます。

透析を受けている方は骨がもろくなりやすく、再骨折リスクが特に高い状態です。