高齢者の入院中の暇つぶしで認知症予防にもなるおすすめ8選
2026年6月19日
親や祖父母が入院となり、「一人でベッドにいる時間が長いのではないか」と心配している方は多いでしょう。入院中は活動量が減り、外からの刺激も少なくなるため、高齢者にとっては認知機能の低下が起こりやすい環境でもあります。
この記事では、入院中の高齢者が一人でも取り組める暇つぶしをご紹介します。
手や頭を使う活動を日課にしておくと、退屈な時間を有意義に変えられ、認知症予防にもつながる過ごし方が可能になるでしょう。
高齢者の入院中におすすめの暇つぶし8選
入院中は検査や処置の合間に、長い空き時間が生まれやすいものです。その時間をぼんやりと過ごすのではなく、手や頭を使う活動に充てると、認知症予防の観点からも有効といわれています。
紹介する8つはベッドの上でも取り組みやすく、道具の準備が少なくて済み、一人でも始められるものを選んでいます。体の状態や好みに合わせて、取り組みやすいものから試してみてください。
- 脳トレドリル
- 大人の塗り絵
- クロスワード・数独
- 折り紙・手芸キット
- 本・雑誌を読む
- ラジオ・朗読音声を聴く
- 動画鑑賞
- 指先トレーニンググッズ
脳トレドリルで毎日記憶力と思考力を使う
脳トレドリルは、計算・漢字・記憶問題・言葉探しなど複数のジャンルが一冊にまとまっています。毎日違う種類の問題に取り組めるのが大きな魅力です。
脳科学の研究では、難しい問題よりも簡単な計算を素早くこなす方が、脳の司令塔とも呼ばれる前頭前野を中心に脳全体が活性化されやすいとされています。
短時間でも毎日続けると脳の情報処理速度が維持されやすくなるとも言われており、入院中の空き時間をうまく活用できるでしょう。
準備のしやすさも、入院中には欠かせない条件のひとつ。脳トレドリルは書店はもちろん、100円ショップでも手に入るものがあり、鉛筆一本あれば始められます。ベッドの上でも取り組みやすく、音が出ないため周囲への気遣いも不要です。
大人の塗り絵で手先を動かし集中力を維持
色を選んで線からはみ出さないよう丁寧に塗る、という動作には指先の細かい動きと集中力が同時に必要です。「脳全体の機能を活用しやすい活動」として脳のリハビリを行う医療現場で取り入れているところもあります。
絵を完成させる目標がある点も、入院中の暇つぶしに向いている理由のひとつです。今日はここまで、明日はここまで、と少しずつ進めると、長い空き時間のペースもつかみやすくなるでしょう。
完成した作品をベッドサイドに飾ると、達成感にもつながります。道具は色鉛筆と塗り絵の本だけで、花・風景・昭和の生活など図柄が豊富なので、本人の好みに合ったものを選びやすいのも魅力です。
クロスワードや数独で言葉や数字への反応を保つ
クロスワードはヒントから言葉を思い出し、マスの数に合った文字数を書き込んでいきます。記憶力・語彙力・推理力が必要になります。
数独は1〜9の数字を論理的に配置していくため、思考力が求められます。
クロスワードパズルが認知機能向上ツールとなる可能性があるという研究データもあります。(※パズルが認知症の発症予防を直接示したものではありません。)
入院中に向いている理由のひとつは、1問ずつ区切って取り組める点です。検査や処置で中断しても再開しやすく、生活リズムに合わせやすいでしょう。
市販の雑誌形式で入手しやすく、懸賞付きのものなら解き終えた後のお楽しみもあります。
折り紙・手芸キットで脳への刺激
折り紙は、紙を折る方向を考え、手順を覚え、指先で折り目をつけるという複数の動作を同時に行います。塗り絵が「一つの動作を繰り返す」のに対し、折り紙や手芸は「折る・縫う・結ぶ」といった異なる動作を組み合わせるため、脳への刺激がより多岐にわたるとされています。
指先で細かく物をつまむ「精密把握」の動作は、認知機能をつかさどる前頭前野を含む脳のさまざまな部位を活性化させるといわれています。折り紙はまさに指先の動作に当てはまる活動といえるでしょう。
また完成品が手元に残ると、入院中の暮らしでの達成感につながります。「できた」と感じると次への意欲につながりやすく、気力を保つ助けにもなります。
手芸は道具や材料の準備が必要ですが、最近は糸・布・針など必要なものがすべてそろったキットが市販されています。キットを使うと初めて挑戦する人でも手順通りに進めやすく、すぐに取り組めるでしょう。
本や雑誌で文字を読む習慣を保つ
文字を読むのは、語彙・知識・想像力を同時に使う能動的な知的活動です。読書のような認知活動を続けた高齢者は認知症になった割合が少ない研究報告もあり、読書習慣を保つことが認知機能の維持に役立つと考えられています。
入院前から本や雑誌に親しんでいた人であれば、環境が変わっても同じ習慣をそのまま続けられる点も大きな強みです。
推理小説・歴史読み物・旅行や園芸などの趣味雑誌といった、本人が興味を持てるジャンルを選びましょう。「読みたい」気持ちが自然と続きやすくなります。
目や手を使えるコンディションの人に向いており、疲れたときにすぐ本を閉じて休める手軽さも、入院中の暮らしに合っています。
ラジオ・朗読音声で耳からの刺激を与える
ラジオや朗読音声は、目も手も使わずに耳だけで楽しめるため、体の状態が優れないときや就寝前でもおすすめできます。横になったまま、あるいは目を閉じたままでも継続できる点が特徴です。
ラジオは映像がないぶん聴いた内容を頭の中で想像しやすいです。ジャンルはニュース・音楽・落語・朗読と幅広く、好みに合わせて選べます。
病院の大部屋ではイヤホンを使えば周囲に音が漏れず、時間帯を気にせず聴ける環境を整えやすいでしょう。
スマホ・タブレットでの動画鑑賞で頭を使う
スマホやタブレットは、動画鑑賞・写真の整理・昔の映像の見返しなど、視覚と思考を幅広く刺激できるデジタル機器です。テクノロジーの活用は、高齢者の認知機能に有益になる可能性があるという研究も発表されました。
すでに操作に慣れている人であれば準備なく始められ、関心のあるジャンルの動画を自由に選べる点も、長続きしやすさにつながります。
注意が必要なのは、病院によってはWi-Fi環境が整っていない場合がある点です。動画や音楽はあらかじめダウンロードしておくと、通信なしで楽しめます。
指先トレーニンググッズで手先の力を強化
手指は「第二の脳」と呼ばれるほど脳と深くつながった部位です。握力が認知と関連しているという研究報告もあります。
ハンドグリップや指先を動かすリング状の器具は、握る・開く・押すといった動作を繰り返し、筋力の維持と脳への刺激を同時に得られるアイテムです。
グッズはラジオやテレビと同時に「ながら」で使えるため、他の暇つぶしと組み合わせやすい点が特徴です。リハビリと並行して取り入れたいときには、担当医やリハビリ担当者に相談してください。
入院中の暇つぶしが認知症予防につながる理由
入院中は、食事・洗濯・外出といった日常の動作がほぼなくなり、脳への刺激が大幅に減ります。過度な安静状態が続くと心身の機能が低下し、認知機能の低下や意識の混乱を招く要因になるとされています。
入院をきっかけに生活のハリが失われ脳への刺激が減り、認知症が進行したと考えられるケースが医療現場ではしばしば見られるとされています。
逆にいえば、
- 指先を動かす
- 文字を読む
- 音声を聴く
といった活動で脳に刺激を与え続けると、認知機能の低下を緩やかにする可能性があると考えられます。
入院生活が認知機能に与える影響
入院すると入院前にやっていた日常的な活動を行わず、一日の大半をベッドの上で過ごすことになります。活動量の低下と外部からの刺激の減少が重なることで心身の機能が低下する状態を「廃用症候群」と呼びます。
廃用症候群は若い人にも起こりうるものですが、高齢者では数日〜1週間程度の安静でも現れやすく、退院後に通常の生活に戻っても認知機能が元の水準に回復しないケースが少なくないとされています。
住み慣れた環境との急激な変化も脳への負担を増やし、認知機能に悪影響を与える要因の一つとされています。
認知機能への影響を少しでも減らすうえで、手や頭を使う暇つぶしを意識的に取り入れ、脳への刺激を日々の生活の中に確保しておくことが有効と考えられています。
頭や手先を動かす活動が認知機能の低下を防ぐ
読書・楽器演奏・ボードゲームなどを週2回以上している高齢者は、ほとんどしない人と比べてその後に認知症になった割合が少なかったという追跡調査が報告されています。
考えたり、記憶したり、手先を使ったりする活動が脳の神経ネットワークを繰り返し刺激すると、認知機能の低下を遅らせる可能性があるとされています。
継続が最大のポイントで、1日10〜15分でも構いません。体調に合わせてどれか一つから始め、気が向いたら別の活動を組み合わせてみてください。無理なく続けることが、刺激を絶やさない一番の近道です。
骨折後の入院でリハビリをしながら過ごす場合、刺激が減ることで認知機能に影響することがあります。
高齢者の状態に合った入院中の暇つぶしの選び方
入院中は、体の状態が人によって大きく異なります。また、病院ごとのルールもあり、音出しの制限や持ち込みの不可なども暇つぶしの選択肢に影響します。
体に合わない活動を無理に続けると、かえって疲労やストレスの原因になりかねません。自分の状態に合ったものを選びましょう。
視力・聴力・手の動きの状態に合わせて選ぶ
自分の感覚・運動機能を基準に活動を選ぶと、無理なく継続しやすくなります。
| 視力が低下している | 文字が大きめのドリル 大人の塗り絵 ラジオ 朗読音声 |
|---|---|
| 聴力が落ちている | 脳トレドリル クロスワード 折り紙 |
| 手や指が動かしにくい | 電子書籍 動画視聴 朗読音声 |
| 手先が動く | 折り紙 手芸キット 指先トレーニンググッズ |
一つの活動にこだわる必要はありません。午前中は目と手を使う脳トレドリルに取り組み、疲れてきたらラジオに切り替えるといったように使い分けるとよいでしょう。
その日の体調や疲労感を基準に活動を選ぶ習慣をつけると、入院中の長い時間を無理なく、かつ有意義に過ごしやすくなります。
寝たきりや体の動きが限られる場合の活動の選び方
ベッドから起き上がれない、腕が思うように動かせないといった状態でも、取り組める活動はあります。
- ラジオ・朗読音声
- スマホ・タブレットでの動画鑑賞
ラジオや朗読音声は横になったまま聴くだけです。スマホ等であれば画面を固定すれば手をほとんど動かさなくてすむでしょう。
腕がある程度動く場合は、ベッドの上に本や雑誌を置いて読書をしたり、指先トレーニンググッズを握ったりといった活動も選択肢に入ります。
- 細かい手作業を要する折り紙・手芸キット
- 筆圧が必要な脳トレドリル
- 長時間の集中を要するクロスワードなど
体の状態は日によって変わります。調子のよい日は少し手先を動かし、しんどい日は聴くだけに切り替えましょう。今できることから始めると、無理のない入院生活につながります。
病院のルールやベッド周りのスペースを事前に確認する
活動を選ぶ前に、病院側のルールと物理的な環境を確認しておくと、使えなくて持ち帰るといった失敗を防げます。
- ラジオ・電子機器の持込可否
- 病棟内のWi-Fi利用可否(使えない場合は事前ダウンロード)
- においのある道具(マーカー等)の使用可否
- 充電ルール・コンセントの使用可否
- ベッド周りの収納スペースの広さ
ベッド周りの収納はサイドテーブルと小さなロッカーのみであることが多く、かさばる道具は置き場に困ります。
折り紙用紙・文庫本・コンパクトなドリルなど、薄くて軽いものを優先して選んでおくと無難です。グッズ選びと並行してルールを確認しておきましょう。


